系譜メタル

パワー/プログメタルの影響系譜

系譜
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スラッシュやデスが「速さと暴力」の系譜なら、ここに集まるのは「様式美と複雑さ」を選んだ側だ。 Iron MaidenとJudas Priestの叙事詩性、そして「パワーメタルの祖父」と呼ばれるDioの詞世界がドイツで凝固し、Helloween以降の欧州パワーメタルになる。 その隣を、King CrimsonやRushの1970年代プログレを出発点にした流れが並走する。QueensrÿcheとFates Warningがそれをメタルに持ち込み、Dream Theaterが型に固めた。 さらに下流では、Meshuggahの刻みがdjentという最も新しい枝を生む。 年表ビューに切り替えれば、この二本の川が別々の年代から始まって並んで流れているのが見える。

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叙事詩の系譜:パワーメタルの型が固まるまで

パワーメタルの原型は一人の作者ではなく、いくつかの血の合流だ。Dioは今でも「パワーメタルの祖父」と呼ばれることが多く、Rainbow時代からのファンタジー詞世界がこのシーンの詞の基盤とされる。 そこにJudas Priestの高音唱法とツインギター、Iron Maidenの叙事詩的メロディが原型として重なり、Manowarが剣と魔法の歌詞という伝統を波及させた。 これらの素材がドイツのHelloweenで一つの型になる。『Keeper of the Seven Keys』I/IIは欧州型パワーメタルの雛形と見なされ、以降の設計図になった。 Kai Hansenはそのバンドを脱退してGamma Rayを結成し、同じ血をもう一本の枝へ持ち出す。

Keeper of the Seven Keys, Pt. 1 — Helloween
Keeper of the Seven Keys, Pt. 1Helloween1987
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欧州へ広がる枝:本人たちが名を挙げる先

Helloween以降、各国のバンドが自分の出所を本人の口で明かしている。フィンランドのStratovariusについて、Timo Tolkkiの公式伝記はギターの影響源にYngwie Malmsteenを、WikipediaはBlackmore/Rainbowを明記する。 Sonata ArcticaのTony Kakkoは、バンドの転換がStratovariusの影響だと明言し、最大の影響にQueenを挙げている。イタリアのRhapsody of FireのLuca Turilliは、初期作をManowar式と語り、そのネオクラシカルはYngwie由来だとする。 HammerFallのOscar Dronjakは主要な影響にPriest、Maiden、Dioを並べ、SabatonはアルバムのなかでManowarとPriestへの賛歌を歌ってみせた。EdguyのTobias Sammetは、HelloweenとMaidenに触発されてバンドを組んだと語る。 矢印を追うと、Helloweenと、その上流のMaiden・Priest・Dioに線が集中する。ここがパワーメタルの分岐点だ。

複雑さの系譜:プログレをメタルに接ぐ

もう一本の川の源流は1970年代のプログレにある。King Crimsonの"21st Century Schizoid Man"はプログのビッグバンと評され、後のプログメタル発展の起点に置かれることが多い。 Queensrÿche、Fates WarningはそのYes/Rush愛をMaiden崇拝と融合させ、プログレの構築性をメタルの側へ持ち込んだ。決定版を作ったのはDream Theaterだ。Mike Portnoyは「学んだ全てはニール・パートから」と語り、別のインタビューでは「King Crimson、Zappa、Rushを聴いて育った」と振り返る。 同じ川の下流には、King Crimsonを愛するとMikael Åkerfeldtが公言するOpethや、King Crimsonを最大級の影響に挙げるDanny Carey擁するToolもいる。プログレの遺伝子が、様式の違うバンドへ枝分かれしていく。

Images and Words — Dream Theater
Images and WordsDream Theater1992
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Destroy Erase Improve — Meshuggah
Destroy Erase ImproveMeshuggah1995
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刻みの革命:djentという最新の枝

二本の川の最も新しい合流点がdjentだ。スウェーデンのMeshuggahが持ち込んだ、低く調律したギターによるポリリズムの刻み。これがdjentの祖とされ、ジャンル名そのものもこの刻みの擬音に由来する。 PeripheryのMisha Mansoorはその音を「人生の転機」と呼び、Animals as LeadersのTosin Abasiは愛奏者にMeshuggahのFredrik Thordendalを挙げる。二人がこの刻みをジャズやフュージョンの手つきで一般化し、djentという新しいジャンルにした。 こうしてパワーメタルとプログメタルの二本の川は、それぞれ別の年代から流れて現在に届いている。各ノードをクリックすれば、上流の一本一本の枝の先まで辿れる。

出典(本人公言・評論の一部)