系譜メタル

シンフォニックメタルの影響系譜

系譜
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シンフォニックメタルは、一本の系譜ではない。管弦・合唱・クラシック和声という同じ道具を、まったく別の三つの陣営がそれぞれの目的で握った、その交差点の名前だ。 源流は古い。1969年のDeep Purpleの『Concerto for Group and Orchestra』がロックと管弦を結んで道を開き、Wagnerやフィルムスコアの語法が後の作曲家たちの手本になる。 その道具を美しさへ振ったのがスウェーデンのTherionとフィンランドのNightwishで、闇へ振ったのがEmperor、重さへ振ったのがSepticfleshだ。 同じ様式が、女性ソプラノにも、ブラストビートにも、デスヴォイスにも同居している。 年表ビューに切り替えれば、1990年前後にこの三本が同時に立ち上がる様子が縦に見える。

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クラシックという古い水脈

管弦をメタルに引き込む発想は、90年代の産物ではない。1969年、Deep Purpleの『Concerto for Group and Orchestra』はロックとオーケストラを正面から組み合わせ、後にシンフォニックメタル全体への道を開いたものと評される。 Queenは多層コーラスでロックをオペラに近づけ、その壮大さはのちのNightwishの合唱的なボーカルの源流の一つに数えられる。 さらに上流には作曲家たちがいる。TherionはWagnerやR.シュトラウスから着想を得たと公言し、Rhapsody of FireはVivaldiやPaganiniのバロックに、そして映画音楽のフィルムスコアそのものに範を取った。 メタルが新しく発明したのは音の様式であって、管弦という水脈はもっと古いところから引かれている。

美の系譜 - Therionが敷いた道

管弦とメタルを本格的に融合させた祖として名が挙がるのが、Celtic Frostだ。1987年の『Into the Pandemonium』が管弦・合唱を持ち込んだ最初期の先駆とされ、その実験をTherionとBelieverが受け継ぐ。 そのTherionが、メタルにクラシック合唱を組み込む様式を先駆けたと見なされ、ここから太い枝が三方向へ伸びる。NightwishもEpicaもWithin Temptationも、Therionが引いた流れの先に続いた。 なかでもNightwishはソプラノと管弦の路線を商業的に定型化し、After Foreverの女性ボーカル路線やXandriaの雛形、さらにEvanescenceのような近縁バンドまでを射程に収めた。 作曲の中心にいたTuomas Holopainenは、自身の最大の英雄は映画音楽の作曲家たちだと語っている。オーケストラを敵ではなく主旋律の相方に据える発想は、ここで美しさの側へ完全に振り切れた。

Once — Nightwish
OnceNightwish2004
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Theli — Therion
TheliTherion1996
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闇と重さ - 同じ道具の別の使い道

同じ管弦の様式が、まったく反対の方向にも流れ込んだ。1994年のEmperor『In the Nightside Eclipse』はシンフォニック・ブラックメタルを定義したと評され、そこからDimmu BorgirとCradle of Filthが枝分かれする。 Dimmuの初期はEmperorに強く影響を受け、その後Dimmu自身とCradle of Filthが国際的な成功でこの音を大衆化し、シンフォニック・ブラックの第三波を牽引したと見なされる。 重さの側では、ギリシャのSepticfleshとイタリアのFleshgod Apocalypseが実オーケストラの起用でシンフォニック・デスメタルを最前線へ押し上げ、Lorna Shoreは両者を自らの影響源に挙げてその手法をシンフォニック・デスコアへ受け渡した。 起点のCeltic Frostも管弦もクラシックも共通していながら、たどり着いた先は美と闇と重さに分かれている。各ノードをクリックすれば、三本のどの枝の先へでも飛べる。

In the Nightside Eclipse — Emperor
In the Nightside EclipseEmperor1994
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出典(本人公言・評論の一部)