ネオクラシカル・メタルの影響系譜
このシーンの矢印は、ほぼ一人の男に集まってから、また四方へ散っていく。その男の名はYngwie Malmsteen。 彼が18世紀のバロックとPaganiniのヴァイオリン技巧を電気ギターへ移植した瞬間に、ネオクラシカル・メタルは輪郭を得た。 上流にはBachやVivaldiといったクラシックの巨匠、Deep Purpleを離れたRitchie Blackmore、そして速弾きの前提を整えたEddie Van Halenがいる。 下流にはShrapnel周辺のシュレッダー群、欧州のパワーメタル、フィンランドのメロディックデス、日本のバンドが枝を伸ばす。 力学ビューで見れば、なぜこの一点に矢印が集中するのかがひと目で分かる。
上流 — バロックとハードロックが一点で交わる
Yngwie Malmsteenは「クラシックの影響は100%バッハ等から」と公言し、Vivaldiのバロックを様式の核だと語る。 そこにPaganiniのヴァイオリン技巧を全面的に応用したのが、ギターにおける最大の発明だった。 ハードロック側の血も引いている。Deep PurpleとRainbowを率いたRitchie Blackmoreについては「影響を完全には否定できない」と認め、ScorpionsのUli Jon Rothは最大の影響源のひとりと評されることが多い。 さらにEddie Van Halenの速弾き革命が、こうした技巧が成立する前提そのものを整えていた。 クラシック三名、ハードロック三名の矢印が、Yngwie一人にまっすぐ集まる。

結節点 — Yngwieから散るShrapnel世代
1983年のAlcatrazz参加でYngwieは世に出て、その様式は80年代のシュレッダー群へ一斉に波及する。 Vinnie Moore、Tony MacAlpine、Michael Angelo Batio、Greg Howeらは、いずれもネオクラを再発明した世代として彼と並べて語られる。 Jason BeckerはYngwieらに傾倒したと語り、加えてPaganiniの作品を研究したと記録される。彼とMarty Friedmanが組んだのがCacophonyだ。 Chris ImpellitteriはEddie Van Halenを最大の影響に挙げつつ、Yngwieの影響も確かにあったと認め、それでも生涯Yngwieとの比較に晒されたと語る。 Paul GilbertはEVHから学んだと明言しつつYngwie風とも評され、自らRacer Xを率いた。ここが下流へ矢印が最も多く分岐する結節点だ。
下流 — 欧州・フィンランド・日本へ
90年代以降、ネオクラは各地でジャンルへと結晶する。欧州ではTimo Tolkkiが「Yngwieに深く影響された」と語り、率いるStratovariusがネオクラ・パワーメタルを再活性化させた。 Michael Romeoは「Rising Forceが重要だった」と述べ、Symphony Xを牽引。Luca TurilliはそのネオクラをRhapsody of Fireでシンフォニックに膨らませた。 フィンランドではAlexi Laihoが「Yngwieを模倣した」と公言し、Children of Bodomがネオクラとメロディックデスを接合する。 日本ではSyuがYngwieを影響元に明言してGalneryusを結成し、島紀史のConcerto MoonはBlackmoreとYngwieのネオクラ鋳型に立脚すると評される。 そしてMarty FriedmanはCacophony期の奏法をMegadethへ持ち込み、この様式を主流メタルへ橋渡しした。各ノードをクリックすれば、その枝の先のページへ飛べる。


音を作った機材
なぜその音になったのか、ならばどの機材なのか。本人の発言と評伝を一次資料に、一台ずつ裏を取って並べた。
Eddie Van Halen
- GuitarFrankenstrat(自作)
ストラトのボディにギブソン系のハムバッカーを1基だけ搭載した自作機。市販のどの型とも異なる配線が、太いのに速く弾けるトーンを生んだ。
Amazon楽天出典 - AmpMarshall Super Lead 100W + Variac
Variac で電源電圧を落とし、アンプを規定外の領域まで追い込んで飽和させた。いわゆる「ブラウン・サウンド」であり、メーカーの想定にない使い方から生まれている。
Amazon楽天出典 - EffectMXR Phase 90 / Flanger
リフに揺らぎとうねりを加える定番の踏み物。「Eruption」のあの質感には、このモジュレーションが効いている。
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出典(本人公言・評論の一部)
- J.S. Bach → Yngwie Malmsteen:出典(クラシックの影響は100%バッハ等からと公言)
- Antonio Vivaldi → Yngwie Malmsteen:出典(バッハとヴィヴァルディのバロックが核と語る)
- Niccolo Paganini → Yngwie Malmsteen:出典(パガニーニのヴァイオリン技巧を全面的に応用)
- Niccolo Paganini → Jason Becker:出典(ベッカーはパガニーニの作品を研究したと記録)
- J.S. Bach → Joe Stump:出典(ネオクラ志向はバッハ愛にも遡ると語る)
- Ritchie Blackmore → Rainbow:出典(ブラックモアがRainbowを結成し先導)
- Ritchie Blackmore → Yngwie Malmsteen:出典(影響源として完全には否定できないと認める)
- Uli Jon Roth → Yngwie Malmsteen:出典(ロートを最大の影響と評価する見解多数)
- Eddie Van Halen → Paul Gilbert:出典(ギルバートがEVHから学んだと明言)
- Eddie Van Halen → Chris Impellitteri:出典(EVHが最大の影響とインペリテリが公言)
- Yngwie Malmsteen → Alcatrazz:出典(イングヴェイがAlcatrazzで頭角を現す)
- Yngwie Malmsteen → Vinnie Moore:出典(ムーアがネオクラ系譜を再発明した一人)
- Yngwie Malmsteen → Jason Becker:出典(ベッカーがイングヴェイ等に傾倒と語る)
- Yngwie Malmsteen → Marty Friedman:出典(フリードマンがイングヴェイ等を共有影響に)
- Marty Friedman → Cacophony:出典(フリードマンとベッカーがCacophony結成)
- Jason Becker → Cacophony:出典(フリードマンとベッカーがCacophony結成)
- Yngwie Malmsteen → Joe Stump:出典(イングヴェイが主要影響とストンプが語る)
- Ritchie Blackmore → Joe Stump:出典(ブラックモアにより影響と本人が語る)
- Yngwie Malmsteen → Impellitteri:出典(イングヴェイとの比較に常に晒される)
- Yngwie Malmsteen → Chris Impellitteri:出典(イングヴェイの影響は確かにあると認める)
- Chris Impellitteri → Impellitteri:出典(ギタリスト本人が率いるバンド)
- Paul Gilbert → Racer X:出典(ギルバートがRacer Xを率いる)
- Yngwie Malmsteen → Stratovarius:出典(イングヴェイのネオクラを欧州で再活性化)
- Yngwie Malmsteen → Timo Tolkki:出典(トルキがイングヴェイに深く影響されたと)
- Timo Tolkki → Stratovarius:出典(トルキがStratovariusを主導)
- Yngwie Malmsteen → Symphony X:出典(初期作にイングヴェイ的ネオクラ要素が濃厚)
- Yngwie Malmsteen → Michael Romeo:出典(Rising Forceが重要だったとロメオが語る)
- Michael Romeo → Symphony X:出典(ロメオがSymphony Xの中心人物)
- Yngwie Malmsteen → Luca Turilli:出典(イングヴェイ等のネオクラ構成に影響)
- Luca Turilli → Rhapsody of Fire:出典(トゥリッリがRhapsodyを結成)
- Yngwie Malmsteen → Rhapsody of Fire:出典(Rising Forceのネオクラを基盤に融合)
- Yngwie Malmsteen → Alexi Laiho:出典(イングヴェイを模倣したとライホが語る)
- Alexi Laiho → Children of Bodom:出典(ライホがChildren of Bodomを率いる)
- Yngwie Malmsteen → Children of Bodom:出典(デビュー作にイングヴェイ風ソロ満載)
- Yngwie Malmsteen → Syu:出典(Syuが影響元としてYngwieを明言)
- Syu → Galneryus:出典(Syuが2001年に結成・リーダー兼ギター)
- Yngwie Malmsteen → Galneryus:出典(中心人物Syuの様式がYngwie由来のネオクラ)
- Yngwie Malmsteen → Concerto Moon:出典(イングヴェイ系ネオクラに根ざすと評価)
- Norifumi Shima → Concerto Moon:出典(島紀史がConcerto Moonを主導)
- Yngwie Malmsteen → DragonForce:出典(「More is more」をモットーにと語る)