プログレッシブ・ロックの影響系譜
プログレッシブ・ロックは単一の発明ではない。短い期間に起きた複数の発明が連鎖して固まった様式だ。 The Beatlesの『Sgt. Pepper』がアルバムを自己完結した芸術作品に押し上げ、その礎の上に、1969年のKing Crimson『In the Court of the Crimson King』が変拍子と長尺の組曲を積んだ。 Genesisはそのジャケットを掲げ、目指す水準の指標にしたと公言している。 そこから枝はYes、Pink Floyd、Rush、カンタベリーへ分かれ、80年代以降はDream TheaterやOpeth、Meshuggahのdjentへと金属化して流れ出す。 年表ビューに切り替えれば、この60年代末から現在までの流れがそのまま縦に伸びて見える。
1969年、結節点としてのKing Crimson
矢印が最も多く集まり、また多く出ていくのがKing Crimsonだ。ここが分岐点にあたる。 道具立ての一部は先行世代がすでに用意していた。Moody Bluesの『Days of Future Passed』を聴いたKing CrimsonのIan McDonaldは、それがメロトロン入手のきっかけだったと証言している。 そのKing Crimsonの『In the Court of the Crimson King』を、Genesisはジャケットを掲げて目指すべき水準の指標にしたと語り、Yesもメロトロンの使用などで影響を受けたと記される。 一方でThe Niceでクラシックをロックに編曲する手法を確立したKeith Emersonは、それをそのままEmerson Lake & Palmerへ持ち込んだ。 英国プログレは、こうした個々の発明が数年のうちに連鎖して立ち上がった様式である。

プログメタルへの橋 — RushとCamel
70年代プログレの遺伝子は、80年代以降にメタル側で開花する。 Dream TheaterのJohn PetrucciはRushを「全てを変えたバンド」と呼び、旧バンド名Majestyもラッシュの曲に由来する。 OpethのMikael Åkerfeldtはレコード店巡りでKing Crimson・Yes・Genesisを掘り当て、Camelの『Moon Madness』を「人生を変えたレコード」に挙げた。 Porcupine TreeのSteven Wilsonにいたっては「Pink Floydは私の音楽の方向性にほぼ全責任がある」と言い切っている。 古い川が一度せき止められ、別の地形でまた流れ出す。プログレの水源は、そのまま現代プログメタルの水源だ。

djentという最後の枝
枝の先端がdjentだ。ToolのAdam Jonesは十代でRobert FrippのKing Crimsonに目覚めたと語り、最大の影響に挙げた。 そのTool周辺で語られてきたMeshuggahのポリリズムと拡張レンジ奏法は、PeripheryのMisha Mansoorが「巨大な影響」と述べたとおり、次世代へ受け継がれた。 King Crimson由来の数学的なプログレ美学を金属化した系譜として、djentは位置づけられることが多い。 各ノードをクリックすれば、その元ネタとそこから生まれたバンドだけが浮かび上がる。上流のKing Crimsonから枝の先まで、矢印を辿ってみてほしい。

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出典(本人公言・評論の一部)
- The Beatles → Pink Floyd:出典(Pink Floydのニック・メイソンは「The Beatlesには大きな恩がある。Sgt. Pepperがアルバムこそ新しい主役だと証明した」と語った)
- The Moody Blues → King Crimson:出典(King CrimsonのIan McDonaldは『Days of Future Passed』がメロトロン入手のきっかけだったと証言した)
- The Nice → Emerson Lake & Palmer:出典(Keith EmersonはThe Niceでクラシックのロック編曲という手法を確立し、それをELPに持ち込んだ)
- King Crimson → Emerson Lake & Palmer:出典(ELPのGreg LakeはKing Crimson出身で、同バンドの遺伝子を持ち込んだスーパーグループと位置づけられる)
- King Crimson → Yes:出典(King Crimsonは70年代初頭のプログレ運動に強い影響を及ぼし、Yesもメロトロン使用などで影響を受けたと記される)
- King Crimson → Genesis:出典(Genesisは『In the Court of the Crimson King』のジャケットを掲げ、目指すべき水準の指標とした)
- King Crimson → Tool:出典(ToolのAdam JonesはRobert FrippのKing Crimsonでの演奏に十代で目覚めたと語り、最大の影響に挙げた)
- King Crimson → Porcupine Tree:出典(Steven Wilsonは『In the Court of the Crimson King』を最初の本物のプログレ作の一つに挙げ、King Crimsonを敬愛すると語った)
- King Crimson → Opeth:出典(Mikael Åkerfeldtはレコード店巡りでKing Crimson・Yes・Genesisを発見し、Opethに英国プログレの影響を持ち込んだ)
- Pink Floyd → Porcupine Tree:出典(Steven Wilsonは「Pink Floydは私の音楽の方向性にほぼ全責任がある」と語った)
- Yes → Dream Theater:出典(Dream TheaterはRush・Yes・Pink Floydへの愛から生まれたとされる)
- Genesis → Marillion:出典(FishはGenesisの影響力を認めつつ、彼らの曲をカバーして「ちゃんと違いがあると証明した」と語った)
- Camel → Opeth:出典(Mikael ÅkerfeldtはCamelの『Moon Madness』を「人生を変えたレコード」に挙げた)
- Soft Machine → Caravan:出典(CaravanのRichard Sinclairは「Soft Machineは我々の発想に大きな影響を与えた」と語った)
- Rush → Dream Theater:出典(John PetrucciはRushを「全てを変えたバンド」と呼んだ。バンド名MajestyもRushの曲に由来する)
- Meshuggah → Periphery:出典(PeripheryのMisha MansoorはMeshuggahを自身のリズムと拡張レンジ奏法への「巨大な影響」と述べた)