系譜ロック

パンク/ハードコアの影響系譜

系譜
▶ この系譜を旅するExplore

The Damnedは、Ramonesの公演を観た2日後に初ライブを打った。パンクの伝播はそれくらい速い。 演奏の巧拙ではなく「自分にもできる」という確信が、観客を次のバンドに変えていく連鎖。それがこの系譜の駆動力だ。 幹をたどればデトロイトのThe StoogesとMC5に行き着き、そこからロンドンとニューヨークの第一波、D.C.とL.A.のハードコアへと枝分かれする。 さらにDischargeやMisfitsを経てMetallica・Slayerへ橋が架かり、Fugaziの流儀はグランジのPearl Jamにまで届く。 本人たちの言葉だけで配線したのが下のグラフだ。ノードをクリックすれば、その元ネタと子孫だけが浮かび上がる。

スクロール/ピンチで拡大・ドラッグで移動
★ 大物 ルーツ 中核 子孫実線=本人公言 / 細線=評論 / 破線=派生
ノードをクリックすると、その影響元・影響先だけが光ります。

源流のThe Stoogesと、結節点のRamones

矢印が最も多く出ていくノードがRamonesだ。The ClashのJoe Strummerは「最初のRamonesアルバムがシーンに与えた偉大さは強調してもしきれない。パンクの第一声だ」と言い切り、 Black FlagのGreg Ginnは「我々はStoogesに、次にRamonesに触発された」と語っている。 速くて短くてシンプル。その単純さが誰にでも始められる入口になり、Bad Brainsに至ってはバンド名そのものをRamonesの曲「Bad Brain」から取った。 そのRamonesも無から生まれたわけではない。Dee Deeらはメンバー共通のThe Stooges好きで結びついたと語り、Iggy Popは地元ミシガンのMC5とThe Doorsを見て方向性を決めたと振り返っている。 源流の源流はデトロイトのガレージにある。

Fun House — The Stooges
Fun HouseThe Stooges1970
▶ 聴くAmazon楽天
Ramones — Ramones
RamonesRamones1976
▶ 聴くAmazon楽天

ハードコアからD.C.の内向へ

Black Flagが速さと攻撃性を極めると、そこからハードコアの枝が独立して育つ。 Keith MorrisはBlack Flag脱退後にCircle Jerksを組み、Greg GinnはHüsker DüをレーベルSSTに引き入れた。 やがて速さの外側へ抜けたのがD.C.勢だ。Minor Threat解散後にIan MacKayeが結成したFugaziは、Bad Brains、The Faith、Black Flagを直接の影響源に挙げている。 そのFugaziにはThe Faithの影響を受けたRites of SpringのメンバーGuy Picciottoらが合流し、emocoreの語法が持ち込まれた。 Bad ReligionはRamones、Black Flag、Minor Threat、Circle Jerksを併記して系譜を公言し、その血はGreen Day、NOFX、The Offspringのメロディックな世代へ引き継がれていく。Green DayのBillie Joe Armstrongは「Hüsker DüがいなければGreen Dayは存在しない」とまで言った。

Damaged — Black Flag
DamagedBlack Flag1981
▶ 聴くAmazon楽天

メタルへの橋、そしてグランジ

ハードコアの速さと攻撃性は、やがてスラッシュメタルへ流れ込む。 MetallicaはDischargeの曲をカバーし初期写真でそのTシャツを着ており、1987年にはMisfitsの「Last Caress」「Green Hell」も録音した。SepulturaとAnthraxも同様にDischargeを取り上げている。 D.R.I.・S.O.D.・Suicidal Tendenciesはクロスオーバー・スラッシュの父と総称され、パンクとメタルが交わった地点そのものになった。 別の枝はグランジへ伸びる。Kurt CobainはBlack Flagの「My War」「Damaged」を自身の愛聴50枚に挙げ、NirvanaのKrist Novoselicは「我々は新しくない。Hüsker Düが先にやった」と認めた。Pearl JamのEddie VedderはFugaziのライブを「人生を変える体験」と呼んでいる。 この結節点から先は、力学ビューで矢印の集まり方を、年表ビューで時間の流れを追える。各ノードをクリックすれば、その枝の先のページへ飛べる。

出典(本人公言・評論の一部)