グランジ/オルタナティブの影響系譜
グランジは無から湧いたのではない。1980年代のシアトルで、複数の血が一度に合流して固まった音だ。 Black Sabbathの重さ、Melvinsの泥沼のような遅さ、The Stoogesのパンク衝動、Pixiesの静と動のダイナミクスが、Nirvana・Soundgarden・Pearl Jam・Alice in Chainsという核に流れ込む。 そのCobainは「自分は基本的にPixiesをパクろうとしていた」と認めているし、Chris Cornellは「Black Sabbathが自分をKISSファンから救った」と語る。 源流を辿れば1960年代のロックまで、下流を辿ればFoo FightersやCreedのポストグランジまで届く。 年表ビューに切り替えれば、この源流から子孫までの流れがそのまま縦に伸びて見える。
重さの根 - サバスとメルヴィンズ
グランジの重さは二つの源から来ている。一つはBlack Sabbath。Chris Cornellは「サバスが自分をKISSファンから救ってくれた」と語り、暗く重いテーマの根がそこにあると述べた。 Alice in ChainsのJerry Cantrellはさらに直接的で、「まず第一に自分は大のサバスファンで、彼らが我々最大の影響だ」と言い切っている。 もう一つがMelvinsだ。同じシアトル圏で先に鳴っていた彼らの遅く重い音を、NirvanaもSoundgardenもAlice in Chainsも「グランジの源を作った」バンドとして認めている。 そのMelvinsのスラッジ自体、遅く重いサバス的リフを源流に持つと評される。重さは一本の系統で受け継がれた。

ノイズとパンク - ピクシーズと地下水脈
重さだけではグランジにならない。もう一つの血がパンクとノイズだ。 Kurt Cobainは「自分は基本的にPixiesをパクろうとしていた」と認め、静かに始めて急に爆発するあのダイナミクスを借りたと語った。 Pixiesの背後にはさらにThe Stoogesがいて、ブラック・フランシスはイギー・ポップの『The Idiot』『Lust for Life』に夢中だったと述べている。 同じThe Stoogesは、Mark Armが「バンド始動時はストゥージズやワイパーズに影響された音を作ろうとした」と語るMudhoneyにも、そしてSonic Youthにも流れ込んだ。 Green Riverはストゥージズから引き出した泥臭いパンクとメタルの雑種を鳴らし、解散後にその面々がMudhoneyとPearl Jamへ枝分かれしていく。
子孫 - メインストリーム化とその影
Nirvanaの『Nevermind』が爆発すると、グランジは一気に商業の中心へ押し上げられ、Smashing Pumpkinsら同世代の大衆化を導いた。


元NirvanaのDave Grohlは解散と同年にFoo Fightersを結成する。ただしGrohl自身の骨は別のところにあり、ボブ・モールド/ハスカー・ドゥから曲作りとギターを学び「誰よりも多くを負っている」と認めている。 Bushのギャヴィン・ロスデイルは「ニルヴァーナは大きな影響で、触媒として我々に演奏を促した」と語り、Pixiesを「最も影響力のあるバンド」とも呼んだ。 Creedについては、Scott Stappの歌い方がEddie Vedderに酷似すると繰り返し指摘された。影響が露骨すぎると、それは批判の言葉に変わる。 各ノードをクリックすれば、元ネタと子孫だけが残り、その枝の先のページへ飛べる。
出典(本人公言・評論の一部)
- Pixies → Nirvana:出典(カート・コバーンは「自分は基本的にピクシーズをパクろうとしていた」と認め、静と動を切り替えるダイナミクスを借りたと語った。)
- Melvins → Nirvana:出典(バズ・オズボーンのメルヴィンズはニルヴァーナにとって初期から最も直接的に影響を与えたバンドだとされる。)
- SonicYouth → Nirvana:出典(ソニック・ユースはニルヴァーナをゲフィンと契約させる上で決定的な役割を果たし、ノイズとポップの融合をニルヴァーナが繰り返し借用した。)
- BlackSabbath → Soundgarden:出典(クリス・コーネルは「サバスが自分をKISSファンから救ってくれた」と語り、暗く重いテーマの根がブラック・サバスにあると述べた。)
- Melvins → Soundgarden:出典(ニルヴァーナと並びサウンドガーデンはメルヴィンズから直接影響を受けた二大バンドだと評される。)
- NeilYoung → PearlJam:出典(バンド名はニール・ヤングのライブで曲を15〜20分のジャムへ即興拡張する様子に由来し、後に共演アルバムも制作した。)
- TheWho → PearlJam:出典(パール・ジャムはザ・フーの大ファンで、ピート・タウンゼントの激しいライブがエディ・ヴェダーのロック姿勢に大きく影響した。)
- BlackSabbath → AliceInChains:出典(ジェリー・カントレルは「まず第一に自分は大のサバスファンで、彼らが我々最大の影響だ」と語った。)
- TonyIommi → AliceInChains:出典(カントレルはブラック・サバスのトニー・アイオミを最も大きな影響を受けたギタリストの一人に挙げた。)
- TheStooges → Mudhoney:出典(マーク・アームは「バンド始動時はストゥージズやワイパーズ、キャプテン・ビーフハートに影響された音を作ろうとした」と語った。)
- TheStooges → GreenRiver:出典(グリーン・リバーはストゥージズやエアロスミスから引き出した汚く泥臭いパンクとメタルの雑種を演奏したと評される。)
- TheStooges → SonicYouth:出典(ソニック・ユースはヴェルヴェット・アンダーグラウンド、ストゥージズ、MC5、グレン・ブランカらに強く影響を受けた。)
- VelvetUnderground → SonicYouth:出典(サーストン・ムーアはヴェルヴェット・アンダーグラウンドを「完全に唯一無二で誠実なバンドの手本」と呼んだ。)
- HuskerDu → Pixies:出典(ブラック・フランシスは曲を書き始めた頃ハスカー・ドゥとキャプテン・ビーフハート、イギー・ポップばかり聴いていたと語った。)
- TheStooges → Pixies:出典(ブラック・フランシスはイギー・ポップの最初の二枚『The Idiot』『Lust for Life』に夢中だったと述べた。)
- BlackSabbath → SmashingPumpkins:出典(ビリー・コーガンは「8歳でサバスをかけたら人生が永遠に変わった。重くて骨に響いた」と語った。)
- MyBloodyValentine → SmashingPumpkins:出典(コーガンは『Gish』収録の「Daydream」をマイ・ブラッディ・ヴァレンタインから「パクった」と本人に認めた。)
- LedZeppelin → StoneTemplePilots:出典(ロバートとディーン・ディレオ兄弟はレッド・ツェッペリンやT.レックス、チープ・トリックを聴いて育ち、その路線を目指したと語った。)
- Nirvana → Bush:出典(ナイジェル・パルスフォードは「ニルヴァーナは大きな影響で、触媒として我々に演奏を促した」と語った。)
- Pixies → Bush:出典(ギャヴィン・ロスデイルはピクシーズを「自分にとって最も影響力のあるバンド」と呼んだ。)
- HuskerDu → FooFighters:出典(デイヴ・グロールはボブ・モールド/ハスカー・ドゥから曲作りとギターの弾き方を学び、誰よりも多くを負っていると認めた。)
- Nirvana → FooFighters:出典(フー・ファイターズは元ニルヴァーナのドラマー、デイヴ・グロールがニルヴァーナ消滅と同年に結成した。)
- GreenRiver → PearlJam:出典(グリーン・リバーはパール・ジャムやマザー・ラヴ・ボーン、マッドハニーの前身として最初期グランジの一つに数えられる。)
- GreenRiver → Mudhoney:出典(グリーン・リバーは解散後にマーク・アームらがマッドハニーを結成する母体となった。)