シューゲイズ/ドリームポップの影響系譜
シューゲイズをたどると、矢印が一番多く集まるノードはMy Bloody Valentineだ。 だがそのMBVもゼロから生まれたわけではない。Kevin Shieldsは自分の音を、Sonic YouthやDinosaur Jr.のように「乾いて前面に出た」ものにしたかったと語っている。 その手前には、輪郭を溶かす声と残響でドリームポップの起点となったCocteau Twins、そしてシューゲイズの直接の先駆者とされるJesus and Mary Chainがいる。 1980年代半ばに交わったこれらの流れが、Slowdive・Ride・Lushの第二世代を生み、やがてAlcestやDeafheavenのブラックゲイズまで届く。 ノードをクリックすれば、元ネタと子孫の枝だけが浮かび上がる。
源流 - MBVに流れ込んだ三本の血
My Bloody Valentine(1983年結成)は、シューゲイズの分岐点であると同時に、複数の系譜が合流する結節点でもある。 Cocteau Twinsは、MBVらからその名を影響源として挙げられてきたバンドで、そのぼやけた美しい響きはドリームポップという語そのものの起点とされる。 Jesus and Mary Chainのノイズは、シューゲイズの直接の先駆者と見なされることが多い。 そこにKevin Shields自身が公言する影響源が重なる。彼は自分の音をSonic YouthやDinosaur Jr.のように「乾いて前面に出た」ものと表現し、その生々しい音像に惹かれたと語っている。 美しい残響と乾いた轟音という一見矛盾する二つが、MBVで一つの質感に溶け合った。


第二世代 - Slowdive・Ride・Lush
1980年代末、影響を受けた側が次々に自分のバンドを鳴らし始める。 Slowdive(1989年)は、Cocteau Twins、My Bloody Valentine、Jesus and Mary Chainのデビュー作を影響源に挙げられており、ベースのNick Chaplinが一番好きなバンドに挙げるThe Cureの色もその音に混じる。1995年作『Souvlaki』ではBrian Enoがキーボードとトリートメントで加わった。 RideのMark Gardenerは、美大時代の主要な影響源としてMy Bloody ValentineとSonic Youthを挙げ、さらにThe Velvet Undergroundもバンドの発展に効いたと語る。 Lush(1987年)もCocteau Twins、My Bloody Valentine、Siouxsie and the Bansheesに影響を受けたと公言している。 第二世代のほぼ全員が、Cocteau TwinsとMBVという二つの名前を共有していた。

ブラックゲイズへの橋 - AlcestとDeafheaven
2000年代、シューゲイズの轟音はブラックメタルの激しさと出会う。 フランスのAlcest(Neige)は、1stアルバムの録音中にSlowdiveを知ってすぐに惚れ込んだと語っており、AlcestとAmesoeursを通じてブラックゲイズという地形が切り開かれた。 その先にいるDeafheavenのKerry McCoyは、Alcest、My Bloody Valentine、Slowdiveを主要な影響源に挙げ、なかでもMBVのグライドギター技法から眩惑的な効果に着想を得たと明言している。 Slowdiveの傾倒はNothingにも受け継がれ、MBVの質感はM83やDIIVといった2000年代以降の波にも及んだ。 各ノードをクリックすれば、こうした枝の一本ずつを源流から末端までたどれる。
出典(本人公言・評論の一部)
- Siouxsie_and_the_Banshees → Cocteau_Twins:出典(コクトー・ツインズの結成当初の影響源にはセックス・ピストルズやスージー・アンド・ザ・バンシーズが含まれる。)
- Cocteau_Twins → My_Bloody_Valentine:出典(コクトー・ツインズはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインらからその名を挙げられ大きな影響を与えてきた。)
- The_Jesus_and_Mary_Chain → My_Bloody_Valentine:出典(ジーザス・アンド・メリー・チェインはシューゲイズの直接の先駆者とされている。)
- Cocteau_Twins → Slowdive:出典(スロウダイヴの影響源にはコクトー・ツインズ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ジーザス・アンド・メリー・チェインのデビュー作が挙げられる。)
- Sonic_Youth → My_Bloody_Valentine:出典(ケヴィン・シールズはソニック・ユースやダイナソーJr.の生々しく前面に出る音に惹かれたと語った。)
- Dinosaur_Jr → My_Bloody_Valentine:出典(シールズは自身の音をソニック・ユースやダイナソーJr.のように乾いて前面に出たものと表現した。)
- My_Bloody_Valentine → Slowdive:出典(スロウダイヴの影響源にはコクトー・ツインズ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ジーザス・アンド・メリー・チェインのデビュー作が挙げられる。)
- The_Jesus_and_Mary_Chain → Slowdive:出典(スロウダイヴの影響源にはコクトー・ツインズ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ジーザス・アンド・メリー・チェインのデビュー作が挙げられる。)
- My_Bloody_Valentine → Ride:出典(ガードナーは美大時代の主要な影響源としてマイ・ブラッディ・ヴァレンタインやソニック・ユースを挙げた。)
- Sonic_Youth → Ride:出典(ガードナーは美大時代の主要な影響源としてマイ・ブラッディ・ヴァレンタインやソニック・ユースを挙げた。)
- Cocteau_Twins → Lush:出典(ラッシュはコクトー・ツインズやマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、スージー・アンド・ザ・バンシーズらに影響を受けた。)
- My_Bloody_Valentine → Lush:出典(ラッシュはコクトー・ツインズやマイ・ブラッディ・ヴァレンタインらに影響を受けた。)
- Cocteau_Twins → Beach_House:出典(ビーチ・ハウスの『Teen Dream』はコクトー・ツインズ、マジー・スター、ギャラクシー500の気怠い夢想を受け継いだとされる。)
- My_Bloody_Valentine → Alcest:出典(アルセストはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインと比較され、シューゲイズ的な質感を持つと評された。)
- Slowdive → Alcest:出典(ネージュは1stアルバム録音中にスロウダイヴを知り、すぐにこのバンドに惚れ込んだと語った。)
- Alcest → Amesoeurs:出典(ブラックゲイズはフランス人ミュージシャンのネージュがアルセストとアメズールを通じて切り開いた。)
- Alcest → Deafheaven:出典(ディフヘヴンのケリー・マッコイはアルセストを主要な影響源と明言した。)
- My_Bloody_Valentine → Deafheaven:出典(ディフヘヴンはマイ・ブラッディ・ヴァレンタインのグライドギター技法に着想を得て眩惑的な効果を作った。)
- Slowdive → Deafheaven:出典(マッコイはアルセスト、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、スロウダイヴを影響源として挙げた。)