ブルースの影響系譜
20世紀のポピュラー音楽をさかのぼると、行き着くのはミシシッピ・デルタの数人の演者だ。 1910年前後、農場でギターを弾いていたCharley Pattonが年下の演者たちの師となり、Son Houseを見出し、Robert Johnsonを演奏で磨いた。 そのHouseとJohnsonを17歳までに真似ていた少年が、のちにシカゴで電気を通すMuddy Watersである。 マディの電化ブルースは海を渡り、The Rolling StonesやEric Claptonに火をつけて、そのまま60年代のロックへ流れ込む。 年表ビューに切り替えれば、1910年代のデルタから1970年代のブルースロックまで、この一本の川が縦に伸びて見える。
デルタの源流 - Charley Pattonから二本の川へ
デルタ・ブルースの上流には、Charley PattonとBlind Lemon Jeffersonという二つの水源がある。 Pattonはミシシッピ側の祖で、Son Houseを手本として引き上げ、1930年にはのちのHowlin' Wolfとなる青年を弟子に取ってギターを教えた。 Robert Johnsonはこの結び目の下に立つ。Willie Brown、Patton、Son Houseら名手と接して演奏を磨いたと伝えられ、Son Houseは形成期の影響源と見なされている。 いっぽうテキサス側では、Blind Lemon Jeffersonが1920年代初頭にダラスでLead Bellyと共演し、当初弟子だったT-Bone Walkerをギグへ案内していた。 B.B. Kingはこのジェファーソンを最大級の音楽的影響の一人に挙げており、デルタとテキサス、二本の川が早くから分かれていたことが分かる。

結節点のRobert JohnsonとMuddy Waters
グラフで矢印が最も交差するのが、Robert JohnsonとMuddy Watersだ。ここがブルースの分岐点にあたる。 Johnsonはわずか29年の生涯で下流へ届いた。Elmore Jamesはその奏法を広めたとされ、Claptonは2004年にカバー集を2枚制作、The Rolling Stonesは「Let It Bleed」で「Love in Vain」をカバーしている。 そのマディは系譜を電化した。The Rolling Stonesは彼の1950年の曲「Rollin' Stone」からバンド名を取り、シカゴへ出てきたBuddy Guyは彼の影響下に入り、Otis Rushもクラブでの演奏に触発された。 この結節点の脇に控えるのが作曲家Willie Dixonだ。彼の書いた曲を、マディ(「I Just Want to Make Love to You」)もHowlin' Wolf(「Evil」)もThe Rolling Stones(「Little Red Rooster」で1964年に英国1位)も録音している。

ロックへ渡るギター
1960年代、ブルースのギターは若いミュージシャンの手で増幅され、川は世界中のロックへ分かれていった。 B.B. Kingは「Stormy Monday」を聴いたT-Bone Walkerの流れを受け、Claptonは彼を敬愛して2000年に「Riding with the King」で共演、Stevie Ray Vaughanの主要な影響にも挙げられている。 Elmore Jamesの増幅されたスライドはDuane Allmanへ、Buddy Guyが歯や頭上でギターを弾くトリックはJimi Hendrixへ、Otis RushのウェストサイドはPeter Greenへと伝わった。 Vaughanに至っては、バンド名「Double Trouble」をOtis Rushの曲名から取っている。 各ノードをクリックすれば、この川がどこから来てどこへ注いだか、上流と下流の両方向へ辿れる。

音を作った機材
なぜその音になったのか、ならばどの機材なのか。本人の発言と評伝を一次資料に、一台ずつ裏を取って並べた。
Jimi Hendrix
- GuitarFender Stratocaster(右利き用を左手で)
右利き用のストラトを上下逆さに構え、左手で弾いた。ペグの位置も弦の張力配分も本来と反転するため、高音の抜けとアームの効きが通常のストラトとは異なる。あの音色の一因は、この構え方そのものにある。
Amazon楽天出典 - EffectDallas Arbiter Fuzz Face
ゲルマニウム・トランジスタ期のファズ。ギター側のボリュームを絞ると歪みが退いてクリーンに近づく。この可変幅を、右手のボリューム操作だけで曲中に弾き分けた。
Amazon楽天出典 - AmpMarshall Super Lead 100W スタック
歪ませたフルスタックの爆音が音の土台をなす。ファズ、ワウ、Uni-Vibe を通した信号も、この音量で鳴らして初めてあのサウンドとして成立した。
Amazon楽天出典
Eric Clapton
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出典(本人公言・評論の一部)
- Charley Patton → Son House:出典(パットンはハウスの才能を見出し、共演や録音に誘って手本となった。)
- Charley Patton → Howlin' Wolf:出典(1930年にバーネット(のちのハウリン・ウルフ)はパットンの弟子となり、ギターを教わった。)
- Charley Patton → Robert Johnson:出典(ロバート・ジョンソンは同地に住んで演奏し、パットンは年下の演者たちの師となった。)
- Son House → Robert Johnson:出典(ハウスはコアホマ郡時代のジョンソンにとって形成期の影響源だった。)
- Son House → Muddy Waters:出典(マディは17歳までにサン・ハウスとロバート・ジョンソンを真似てギターを弾いていた。)
- Blind Lemon Jefferson → Lead Belly:出典(ジェファーソンは1920年代初頭にダラスでレッドベリーと共演した。)
- Blind Lemon Jefferson → T-Bone Walker:出典(当初ウォーカーはジェファーソンの弟子で、彼をダラスのギグへ案内していた。)
- Blind Lemon Jefferson → B.B. King:出典(B.B.キングはジェファーソンを最大級の音楽的影響の一人として挙げた。)
- Robert Johnson → Muddy Waters:出典(マディは17歳までにサン・ハウスとロバート・ジョンソンを真似てギターを弾いていた。)
- Robert Johnson → Elmore James:出典(エルモア・ジェイムズはロバート・ジョンソンの影響を受け、その奏法を広めた。)
- Robert Johnson → Eric Clapton:出典(クラプトンは2004年にロバート・ジョンソンのカバー集2枚を制作した。)
- Robert Johnson → The Rolling Stones:出典(ストーンズは「Let It Bleed」でロバート・ジョンソンの「Love in Vain」をカバーした。)
- Sonny Boy Williamson I → Little Walter:出典(リトル・ウォルター初期の録音はパイオニアであるサニー・ボーイ・ウィリアムソンIに強い様式的負債を負っていた。)
- Sonny Boy Williamson II → Howlin' Wolf:出典(彼は1949年にウルフへハーモニカの弾き方を教えた。)
- Sonny Boy Williamson II → The Yardbirds:出典(彼は欧州ツアー中にヤードバーズと共演しアルバムを録音した。)
- T-Bone Walker → B.B. King:出典(B.B.キングはウォーカーの「Stormy Monday」を聴いたことがエレキギターを手にする契機になったと語った。)
- T-Bone Walker → Chuck Berry:出典(チャック・ベリーはウォーカーとルイ・ジョーダンを主な影響として挙げた。)
- Muddy Waters → The Rolling Stones:出典(ローリング・ストーンズはマディの1950年の曲「Rollin' Stone」からバンド名を取った。)
- Muddy Waters → Eric Clapton:出典(エリック・クラプトンは少年期からマディの大ファンで、クリームは「Rollin' and Tumblin'」をカバーした。)
- Muddy Waters → Led Zeppelin:出典(マディ・ウォーターズの影響は最初の2枚のアルバムに特に顕著だった。)
- Muddy Waters → Buddy Guy:出典(1957年にシカゴへ移ったガイはマディ・ウォーターズの影響下に入った。)
- Howlin' Wolf → The Rolling Stones:出典(ストーンズは彼の曲を録音し、「Little Red Rooster」は英国で1位になった。)
- Howlin' Wolf → Eric Clapton:出典(クラプトンは憧れのウルフと「The London Howlin' Wolf Sessions」で共演した。)
- B.B. King → Eric Clapton:出典(クラプトンはB.B.キングを敬愛し、2000年にアルバム「Riding with the King」で共演した。)
- B.B. King → Stevie Ray Vaughan:出典(B.B.キングはヴォーンの主要な影響の一人に挙げられる。)
- Elmore James → The Rolling Stones:出典(ストーンズのブライアン・ジョーンズはエルモア・ジェイムズの奏法に影響を受けた一人に挙げられる。)
- Elmore James → The Allman Brothers Band:出典(デュアン・オールマンはエルモア・ジェイムズのスライド奏法に影響を受けたギタリストとされる。)
- Willie Dixon → Muddy Waters:出典(ウォーターズはチェス全盛期にディクソンの「I Just Want to Make Love to You」を録音した。)
- Willie Dixon → Howlin' Wolf:出典(ハウリン・ウルフはディクソン作の「Evil」を録音しブルースのスタンダードにした。)
- Willie Dixon → Little Walter:出典(「My Babe」はリトル・ウォルターが世に広めたディクソンの作品の一つだった。)
- Willie Dixon → The Rolling Stones:出典(1964年にストーンズはディクソンの「Little Red Rooster」のカバーで英国1位になった。)
- Willie Dixon → Led Zeppelin:出典(1987年にディクソンは盗用を訴えてレッド・ツェッペリンと示談に至った。)
- Buddy Guy → Jimi Hendrix:出典(ガイが歯や頭上でギターを弾くトリックは後にジミ・ヘンドリックスに影響を与えた。)
- Buddy Guy → Eric Clapton:出典(クラプトンはバディ・ガイを「現存する最高のギタリスト」と評した。)
- Buddy Guy → Stevie Ray Vaughan:出典(ヴォーンはアントンズでバディ・ガイら影響源とよくジャムした。)
- Otis Rush → Eric Clapton:出典(クラプトンはオーティス・ラッシュの独特なギター様式に影響を受けた。)
- Otis Rush → Peter Green:出典(ピーター・グリーンの音楽はラッシュのウェストサイド・シカゴ・ブルースに形作られた。)
- Otis Rush → Stevie Ray Vaughan:出典(ヴォーンはバンド名「Double Trouble」をオーティス・ラッシュの曲名から取った。)
- John Mayall → Eric Clapton:出典(クラプトンはブルースブレイカーズ在籍中にクラブ最高のブルースギタリストの評価を得た。)
- John Mayall → Peter Green:出典(グリーンはメイオールのもとを離れた後フリートウッド・マックを結成した。)